2020年6月19日に全面的に東京において休業要請が解除されてからもうすぐ1か月が経とうとしている。
7月4日現在でもいまだに数多くの新型コロナウイルスPCR陽性者数が出る中、再び自粛が始まるのではないか?と戦々恐々とされている方も少なからずいらっしゃるのではない
だろうか?
本日の外来でこんな患者さんが来院されたので、皆さまもひとりひとり自分の状況に置き換えて考えて頂きたい。
その患者さんはパーキンソン病など様々な病気を抱える80歳のお父様と同居されている女性。前回はオンライン診療で甲状腺疾患の投薬をされた方で、前回の診察中に、どうしてオンライン診療を希望されたのかはお聞きはしていたが、まさかこんな先生がいるとは?!と思わせる内容を今日の診察で知ることになった。
その内容とは、その女性のお父様の主治医からお父様はコロナウイルスにかかったら間違いなく死にます、と言われたというのだ。それ以降、その言葉が気になってしまい外出がしずらい、と。
その主治医の方がどれだけ勉強され、どれだけコロナウイルス感染症の知識がおありになるか知らないが、その言葉を本当に発していたとしたら、ただただ驚く。
無論、病気を複数持ったご高齢であればリスクは低くない。最悪もし罹患されれば、亡くなられるかもしれない。しかし間違いなく死にます、とはよく言えたものだなあと。。。
その先生の診療現場を見ている訳ではないので、もしかするとそこまではっきり言わないまでもその意味合いで伝えていたのかもしれないが、患者さんあるいは、その家族にそのように伝わってしまっていたら、そのように言っていることと同じことだ。しかしその先生が間違ったことを言っているとは思わない。
私とは考え方が全く異なり、医師としての在り方が根本的に違うということだけだ。
そのように主治医から言われて家族であるその娘様は外出も気になり普通に出来ないのだと、と言うのだ。もしかすると私が外出したことでお父さんにうつしてしまうかもしれないから、と。
私はその娘様に今日の診察で尋ねた。
お父様には外出をほぼさせず、自宅の中でコロナウイルスにかかるリスクを限りなくゼロにしたいのですか?と。
お父様はどう生きていきたいのか?を家族でなるべく話した方がいいとも伝えた。
このような問題には正解などない。でも私はその娘様の主治医として自らの考えを伝えた。
私なら、お父様が外に出たいと言うなら出てもらいます。私自身も娘様も誰であっても、いつまで生きられるの分からない。この季節しか味わえないお花や香り、眺め、味覚があるもので、私はそれを大切にしたい。
病気を怖がり過ぎて委縮して生活するより、マスクや手指の消毒をしっかりしていたら、
神のみぞこの先のことを知る、という潔さが私は必要だと思う、と。
しかし一方で家族で話合って外出せず家にいた方が安心でいいね、ということなら家にいればいい。
結局よくよく伺うと、お父さんは少しでも外に出たい、というのだ。それなら喜んで外に一緒に出て思いっきり空気を吸い、季節の移り変わりを感じてもらうのが一番幸せなのではないだろうかとお話しした。
何も人混みの中に出て行っても良いと言っている訳ではない。夜な夜な呑みに行っても良いと言っている訳でもない。最近新型インフルエンザが中国で発生した、と聞かれた方も多くいるだろう。次々と生まれる未知なる感染症の中、何もコロナウイルスだけを気にしていくことが正しいのではなく、どんな感染症にも負けない身体作りが必要なのだ、ということをこのことから感じて欲しい。
お父様だけでなく、私達今この世に生きる者として、外気に触れ、少しでも自分の足を動かし、太陽を浴び、旬のものを美味しく好きな人と美味しいね、楽しいね!と喋りながらご飯を頂く、それこそ生きる意味ではないのか?と皆さんに問いたい。
私はゼロリスクにすることより、仮に少しリスクがあったとしても、生きていて幸せだなあと思いっきり感じられる1日1日を歩んでいきたいと心から思う。
それと同時にクリニックにいらっしゃる患者さんには、そのような考え持つ五十子 大雅という人間を信頼して、自らがやるべきをことをやり、どんな状況でもなるべく前向きに物事を捉え、気持ち良く生活して欲しいと願っている。もし具合が悪くなったり熱があったらまず保健所で確認してください、なんて間違いなく言わないので、安心してクリニックに飛び込んで来て頂きたい。現在は、新型コロナウイルス感染症が始まった当初とは違い、ウイルスに関する情報も多く対処法もしっかりできる環境になっていることを理解して欲しい。この冬におそらくまた、
風邪・発熱外来を開設することになるだろうが、どのように抗体検査、抗原検査あるいはPCR検査をやっていくか私の中では完全にスキームが確立している。
新型コロナウイルス感染症により眺めが変わった。しかし悲観的なことばかりではない。
より美しさが際立って見える気がするのは私だけではないだろう。
近日中にクリニックのYouTubeを立ち上げ、気持ち良く生きるためには?を柱に、素晴らしい食材を作る生産者や、様々な食材、身体を動かすことの気持ち良さを伝えるスポーツマンなどを取り上げ、医療に融合させていきたいと考えているのでご期待頂きたい。