父の後を継いでから今まで甲状腺疾患、糖尿病、高血圧症といった疾患を中心に仕事をして来ました。しかし私が勤務する大学病院を始めとした多くの基幹病院で切実な医療環境になっている状況を鑑みて、いま一度、内科医としてより多くの方に貢献できる医療(特に質の高い風邪診療)を行っていく決意を強くしている所存です。
もともと感冒は本人の自己治癒能力を上げることこそが治療の根幹です。無用な抗生剤は無駄というより有害であると考えていますし、これはコロナウイルス対策のみならず8割方の上気道感染症がウイルスによって引き起こされていることから考えても内科学的には大変重要な点です。
よって自宅にてなるべく安静にすることや、体が冷えないように温かくなるような水分や食事を摂ることがまず必要なことで、それが十分に満たされないような環境であればそれを補完することが医療に求められているのです。
十分水分取れなければ点滴することも、熱が高くて横にもなれない、つまり寝れない時などに解熱薬を使うことも、時には有用だと考えます。
しかし最も重要な風邪治療は免疫を向上させる漢方治療であると確信しています。
自分自身は現在も大学の外来診療始め、民間病院(表参道の伊藤病院)でも西洋医学中心の医療を行っておりますが、風邪診療は漢方薬以上に人間に貢献できる薬剤は無いと考えています。これは私が現在、陪席という形でお世話になっている慶應大学病院(渡辺 賢治先生)の漢方外来で度々痛感しております。
もちろん薬剤はどんなに良く効く薬でも8割強がリスポンダーだと思いますので、効果を発揮出来ない人もいるでしょう。
2020年4月7日現在アビガンをはじめいくつか候補薬が出現しているものの、まだ十分な使用成績が明らかではなく、現状新型コロナウイルスに対して有効な治療薬が確立していない中で臨床現場で安全に使用できる薬剤として漢方薬こそが最強の治療薬である考え、当院では積極的に使用していく所存です。
それほど遠くない将来、治癒した患者さんより抽出した血液検体より生成した免疫グロブリンを投与する時代が来るだろうが、今はその時代ではない。
その時、その時で患者さんに最善となる治療をすることが医師の使命であろうから現在、私は風邪診療に対して漢方を中心に治療を行っているのです。
そこで実際に感冒症状(例えば、なんとなくだるい、なんとなく熱っぽい、微熱がある、喉がイガイガするなど様々な症状)があった際に、どのような対応することが多くの方にとって有益であるかを総合内科専門医としてこのホームページをご覧になられた患者様にお伝えしたいと思います。
1.まずしっかり温かい水分を摂る。発熱で非常に倦怠感が強くないようなら適度に身体を動かし軽く汗をかくようにする。
もし倦怠感が強いなら自宅でゆっくりする。ビタミン、ミネラル豊富な消化の良い食材をしっかり摂取する。
2.上記の対応をして、1日経過をみたら、自分の力で風邪から立ち直ってこれているか否かの判定が出来ます。
なんとなく調子良くなって来たなあ、とか、なんとなく昨日より調子が悪いとかそのような感覚を大切にしてください。
体温を測定することも重要ですが、発熱が無い感染症も幾らもありますので発熱が無ければ風邪ではないと考えるのは危険です。
もし改善しているようなら、投薬は一切不要で自己治癒能力が働いて改善していく方向に向かっていると考えて今の対応を継続してください。
でもすぐ良くなったと思って普通通り生活してはいけません。少しずつ免疫力が元通りになる時間的余裕を持って頂くことが重要です。
もし改善していないようなら、ぜひご来院ください。
なるべく症状、その方の証に合った治療を開始しましょう。
私の考えでは3日、4日様子を見るのは現在の新型コロナウイルスが東京全体で流行している状況を考えると正しくない対応かなと考えています。
ただコロナウイルスのPCR検査を軽症の人も含めてなるだけ多くの方が受けた方が良いとは全く考えていません。
治療法がない状況で、免疫力を上げる治療介入することこそが重要で、検査は不要です。
なぜならインフルエンザのように治療薬が存在していないからです。現状、急速に悪化する集団をしっかり見つけ、インテンシブな治療が必要な患者様なのか否かを評価することが大事なわけで、全ての方にやることは医療費の無駄使いだけでなく、不安を煽ることになり兼ねません。
コロナウイルス検査をご希望の方には当院はご要望に応えられませんが、体調を改善させられる方向に少しでも導くことは可能だと考えますので、改善したい方は躊躇せずご来院ください。
3.いつ頃からどんな症状であったか、どんな経過であったかを自分でまとめておくことも大切です。問診、診察こそ最強の治療法を決められる鍵です。
また意外と忘れがちなことでは、自宅もしっかり窓を適宜開放して、換気することも重要です。
可能な限りの水分摂取とビタミン、ミネラル摂取をした上でご来院頂ければ、より良い治療がよりスムーズに行える体の状態になっていると考えます。
4.なるべく不安を減らし、気持ちの良い時間を作るようにお願いしています。
心身一如という言葉をご存知ですか?精神と身体は表裏一体なのです。
不安に思ってよくなる病気であれば、どんどん悩んでください。
でも残念ながらよくなる病気はないどころか、悪くなる病気ばかりです。
やる気、元気、勇気など様々な氣がありますが、氣が充実していないと病気になってしまうのです。つまり楽しいこと、気持ちの良いことをして気持ちが充実していると病気になりにくいということなのです。
ある意味当たり前ですが、このような状況であるからこそ、人に優しくする、元気に暮らせて幸せだなあ、有難いなあと感謝する気持ちを持つことは科学的にも健康になることが証明されています。
5.最後に。急に健康的な体を手に入れることは出来ません。
つまり今の今になって急にタバコをやめても、運動を始めても、早く寝るようになってもすぐには健康的には慣れないしコロナウイルスに犯されやすい体なのです。
でもそれを言っちゃあ、おしまいよ、となるので、少しずつ、ゆっくり寝ることは大事だなあとか、旬のものを頂くって本当に美味しいし大切だなあとか、運動は定期的にやらないとダメだなあと心から感じ、それを実行してください。
継続は力なり、とよく言ったもので、きっとそれらを継続すれば感染症に強い身体を手に入れて頂けると信じています。
院長 五十子 大雅