医療の逼迫

8月16日までクリニックは夏季休暇中ではありますが、どうしてもお伝えしたいことがあり、投稿させて頂くことにしました。
 
新型コロナウイルスワクチンの是非については様々な
意見があり、接種、非接種どちらが正しいと証明出来る人はおそらく1人もこの世にいないでしょう。

そのため、ひとりひとりが熟考して決めることが大切なのです。自らの命は自分で守る、自分で決める、これが基本です。しかしその前提として、ワクチンを打ちたいと思っている人は速やかに打てるような環境整備が必要でしょうし、現在新型コロナウイルス感染症に対して使用可能な薬剤をなるべく医療機関の縛りなく自由に使えるような医療体制整備が重要だと想い、その環境整備を一内科医として切望しています。その環境下でのみ、打ちたい人は接種し、打ちたくない人は接種しない、という自由選択の余地が出てくるのだと考えています。

私自身、人事を尽くして天命を待つ、という考えを心から大切に考えていますので、健康維持には自らがやるべきこと、つまりは良質な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を普段から行っていくのみなのだという信念があります。

しかし、そのような中でワクチンを打てる環境で打たないと決めた人が最善を尽くしているのか?という問いの答えはとても難しい問題です。なぜそれをここで問うか?というと、私のとても大切にしている方のお姉様が新型コロナウイルスに罹患し、現在呼吸状態が悪化し、人工呼吸器に繋がれることになった方がいらっしゃいます。

その方の年齢は49歳。私より2歳しか歳をとっていない人間が遺書を子どもに書いている、と聞き、なんとか助けたいと思い、自分の母校である慈恵医大のみならず、自分が心から信頼している呼吸器科の後輩がいる虎の門病院、私の尊敬する先輩の母校の日本医大、京大時代に大変お世話になり、とても信頼する先輩が働く大阪の医療センター、どこも受け入れることが出来ない、医療が逼迫している状況、それが現在2021年8月13日なのです。

その方はまだお若いし、基礎疾患も無い方だったので、ワクチン接種の対象者でありながらも、まだ打てる順番がまわってきていない状況で新型コロナウイルスに罹患してしまってそのような状況になってしまったのです。

私は自らへの医療行為について自分で選択することはとても大切な命の尊厳に関わる事項だと考えていますので、ワクチン接種は自由意志でやるべきだと今でも考えています。

ただ、もしワクチンを打てる順番が来ているのにワクチン接種をしなかった人がもし重症になった際に、ワクチン接種を打ちたくても打てる順番がまわって来なかった人が重症になったとして、どちらを優先して高度医療へ移って頂くのが正しいのか?と問われれば、厳しい言葉かもしれませんが、打てる環境であっても打たない選択をした人は後回しにせざるを得ないのだろうと思うのであります。

そのくらい重症な方が入院しづらい状況になっていることを知って欲しいと想い今回の投稿に至りました。

新型コロナウイルス感染症は皆様ご存知の通り、8割方は通常の風邪と同じように治る感染症です。ただしひとたび重症になると健康な人でも命を奪われかねない病気でもあると知って頂き、ある程度の年齢の方、私見では30代以上で普段から多忙な方はワクチン接種が望ましいのではないかと考えるようになっています。ただし、ワクチンの最大のメリットは感染しないのではなく、重症化予防である点から考えれば、接種して安心ではなく、日頃からの生活を意識して頂くことも大切ですし、ワクチンを接種している人こそ症状がコントロールされやすいために知らないうちにスプレッダーになり得ることを知って欲しいと願っています。

10代以下の方は未だに日本国内において死亡者はゼロです。ワクチン接種は人への感染予防でなく重症化予防であり、結局のところ重症化しやすい人自らが接種していないと防げないものであることを考えると、10代以下の方は接種するメリットは極めて低いと現状では以前と同様考えております。

今回の投稿が多くの方にご参考になり、また命の大切さを考えるきっかけになって頂ければ幸いに存じます。

院長 五十子 大雅

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