前回のFacebookへのpostで、一部虚偽の内容がある可能性があるとFacebookより連絡がありましたので、虚偽の内容を書いたつもりは全くなく、なるべく非専門の方にも分かりやすく記載したいと思います。
特異度、感度の問題を含めて医療の素人のFacebookの第三者調査委員の方にも、そしてより良い医療を求める皆様にも理解して頂けるようにpostしたいと考えております。
またそれと同時にこのような皆さんに意見をあげられる場を作って頂けるFacebookには心より感謝しています。
誤解があってはならないことは、 1993年にノーベル化学賞を受賞したマリーキャリスにより発明された PCR法は極めて質の高い、ひとつの微粒子を計測可能なところにまで増幅させられることが可能な技術で、ある人がPCR陽性ということは、ひとつの微粒子、つまり今の問題で言えばCOVID-19のウイルス粒子を有していることが証明される訳であります。COVID-19の遺伝子配列は解明されていますので、これが誤利用される可能性はなく、誤解釈に気をつけなければいけないことを理解して欲しいと思います。
COVID-19のPCR検査は最も良いタイミングで感度80%程度、特異度は99%以上とされています。
ここで復習したい。
感度というのは、病気を持っている人の中で、検査陽性と出る確率であります。
つまり、今回の場合について言えばCOVID-19に罹患している人が、このCOVID-19 PCR検査を施行したら陽性になる人が約80%であるという意味であります。残念ながら感度80%は高い方ではないので、偽陰性が多くなります。偽陰性というのは、本当はCOVID-19感染者であるにもかかわらずこのPCR検査で陰性となってしまうという意味です。
一方、極めて高いほぼ100%とされる特異度についてはどうでしょうか?
特異度というのは、病気を持っていない人の中で、検査陰性と出る確率であります。
つまり、今回の場合について言えばCOVID-19に罹患していない人が、このCOVID-19PCR検査をしたら陰性になる人がほぼ100%であると言う意味であります。これは、ほぼ偽陽性が無いという意味です。偽陽性というのは、本当はCOVID-19感染者でないにも関わらずこのPCR検査で陽性となってしまうという意味です。
つまり、まとめると、この新型コロナウイルス感染者でない人が陽性と出ることはほぼ間違いなくない。
しかし、本当は新型コロナウイルス感染者であるにも関わらず陰性と出てしまう人が10人中2人もいるということです。
では、昨日東京都の感染者数が4058人と発表されましたが、その人数がCOVID-19感染者であることは間違いがありません。ただし、ここで誤解釈があってはいけないということを皆さんにお伝えしたいのです。
ウイルスを保有していても感染させられるだけのウイルス量を有している人数が4058人なのか?と問われれば、それはノーであります。その理由は、このPCR検査の最も問題となるサイクル数(少し専門的になるが熱変性、アニーリング、伸長という3ステップを何回繰り返して検出可能になったかという数)がいくつなら感染性を有しているかを世界中のどこでも明確に決められていないからです。
皆様ご存知のように、一般的には感染者になっても10日間の経過観察で自宅待機解除となりますが、実際にはこの自宅待機解除の時点においてもPCR検査においてだいたい30サイクル数くらいで検出可能な状態であります。つまり30サイクルでも人にはほぼ感染させないと分かっているから自宅待機を解除し街中に放たれる訳であります。しかし実際には診断においてはサイクル数は30サイクルどころか35サイクルでも40サイクルでも検出されれば陽性と判定される訳です。(ちなみにサイクル数が少ないほど、ウイルス量が多いという意味です。)そのためにマリーキャリス自身が述べているように、誤解釈には気をつけなればいけないのだ、と。。。このPCR検査で陽性になったからと言ってその人が病気であるとか、感染性を有している人とは全く言えない訳です。
私が今回のpostでお伝えしたいことは、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを誤って診断することはあり得ない。しかし、新型コロナウイルスのPCR検査にて陽性となって、インフルエンザウイルス検査をしていない人の場合において、本来は新型コロナウイルスの感染性を有していない程度のウイルスしか保持してい無い人の中で実は、検査をしていないだけで見つかっていないインフルエンザウイルス感染者、あるいは他のウイルス感染者がたくさんいるでしょう、ということなのです。
私自身、糖尿病の創薬を京都大学にて行っていた際に、数多くPCR検査をして行ってまいりましたが、そのPCR検査に対する信頼性は極めて高いものの、その解釈をきちんとしないと誤った論文報告、誤った認識、誤った社会への啓蒙になってしまうということをご理解頂けるとありがたいです。
長くなりましたが、世界中の誰もがCOVID-19を終焉させたいと願っているので、正しい知識、正しい医療、正しい啓蒙をしていきたいと医療者として考えています。
Facebookの第三者委員の方も素人ではあると思いますが、よくこのpostを読んでご理解頂けると嬉しい限りです。
皆様も強靭な身体を作ってこのCOVID-19を乗り越えていきましょう!