結節性甲状腺腫について

結節性甲状腺腫とは

甲状腺の腫瘤、しこりを結節性甲状腺腫と言います。
結節性甲状腺腫には良性と悪性があります。良性、悪性の評価はほとんど超音波検査(エコー)にて判断されますが、より確実に評価するために針を刺して細胞をとる検査を行うこともありますし、CTやMRIの検査を行うこともあります。針を刺して細胞をとり検査をして良性と判断されても、悪性の可能性が少しでもある場合には経過により手術が必要となることもあります。

また結節性甲状腺腫の大部分は甲状腺の機能の異常はありませんので(つまりホルモンは正常なことが多いので)、しこりに伴う症状以外は出ることはほとんどありません。一部には甲状腺ホルモンを産生する腫瘤がありますので、バセドウ病のような症状が出現することがあります。

「エコー下細胞診」検査方法

良性結節

1
腺腫:大きさは様々で、腫瘤は1つです。
2
嚢胞:腫瘤の内容物が液状になっているもので、ゼリー状やチョコレート状のものなどがあります。
3
腺腫様甲状腺腫:腫瘤がいくつかあります。病理学的には腺腫は腫瘍ですが、腺腫様甲状腺腫は過形成です。

治療は基本的には必要ありませんが、美容面や不快感が強い場合には手術や嚢胞の場合には穿刺して吸引することがあります。再発する場合にはエタノール注入することもあります。また結節のサイズを小さくするために甲状腺ホルモン薬を服用して頂くこともあります。

悪性腫瘍

がん:甲状腺のがんには以下のものがあります。

1
乳頭癌:甲状腺癌の90%以上は乳頭癌です。進行が遅く、手術により治すことができます。
2
濾胞癌:5-6%を占めます。これも予後良好なことが多い癌で、手術により治すことができます。
3
髄様癌:稀な癌です。遺伝性に認められることがあります。
4
未分化癌:稀な癌です。進行が早いので早急な治療が必要です。

悪性リンパ腫:橋本病から発生すると言われています。

治療は乳頭癌、濾胞癌、髄様癌では手術が第一選択です。進行した場合にはアイソトープ治療、化学療法を行うこともあります。未分化癌、悪性リンパ腫では放射線治療や化学療法が行われます。乳頭癌や濾胞癌では甲状腺ホルモン薬を服用して進行が抑えられることがあります。